シビックハッカー道場 2022-11-12
後:
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タイムスケジュール
18:00-18:15:(Scrapboxに書き込みできない人のフォロー)趣旨説明、自己紹介
19:45-20:00:フリーディスカッション
自己紹介
yuiseki.icon
プロダクトマネージャー・ソフトウェアエンジニア
普段は東京在住
近況:いま京都にいます、そろそろ帰ります
Koichiro Shiratori.icon
研究者(行政学)、大学勤務
近況:4時間すでに作業してへろへろ、だけど学ぶのは好きなんで頑張ります!
Ryohei.icon
近況:2週間前に結婚式を上げました
🎉🎉yuiseki.icon*2Koichiro Shiratori.icon*4junko.s.iconjunko.s.icon
junko.s.icon
フリーランス: マーケティングリサーチ、データ分析
近況:最近Web3.0の勉強をしてます(が理解しきれておりません)
参加のキッカケを教えていただけると嬉しいです!yuiseki.icon
ミッション達成に向けて、共に学び、一緒にアップデートしていく育成塾の趣旨に共感いたしました!
趣旨説明
勉強会の目的
「誰一人取り残さない社会の実現をコードで加速する」というproj-inclusiveのミッションの達成に向けて、関わる人の知識を一緒にアップデートし、共通理解をつくっていく。特に「支援制度検索システムの開発」や「貧困関連データの可視化」に役立てる。 この箇所はアップデートしても良いかもyuiseki.icon
方法
オンラインで月1回程度の勉強会を行う。さしあたって、①社会、②データ・統計、③プログラミングの3つの分野を扱う (原則30分程度ずつ)。一方的に特定の講師役から習うのではなく、教材をベースに、知識を持ち寄る演習形式とする。興味のある分野を事前に予習し、Scrapboxなどに要点・疑問点・質問を書いておき、当日は議論を中心に進める。
参加者
だれでも参加可能。お誘いあわせの上ご参加ください。
①社会分野
※レジュメ:Koichiro Shiratori.icon作成
プロローグ 社会という荒野を仲間とともに歩く(野田智義)
社会と未来にどう向き合うか
社会の「底」が抜けてしまっている(日本、世界)
本書を貫く問題意識
社会人として、市民として、リーダーとして、そして一人の人間として、僕らは社会とその未来にどのように向き合うべきなのだろうか。どのように向き合いたいのだろうか。
反論:「社会の底は抜けてなんかいない」(特にビジネスパーソンなど)
確かに社会は暮らしやすくなっている(コンビニ、ネット通販、ソーシャルメディア、スマホのGPS機能……)
→まさに「安全・快適・便利」
しかし、それを手に入れるのと引き換えに、僕らは多くのものを失っている
廃れてしまった商店街、近所づき合いのない生活、近くにいても心を本当には許せない人間関係、ネット空間で繰り広げられる匿名の攻撃や誹謗中傷……
そんな中、自分は何を大事にして生きているのか。自身の存在についての不確かささえ感じ始めている僕らがいるのではないだろうか
本書は、大学院大学至善館(ビジネススクール)における講義を再現するもの
なぜ、経営リーダーたる経営者や起業家に、社会について考えてもらいたいのか
理由①:ビジネスは社会の中に存在するものだから
社会なくしてビジネスは存在しない→社会というものを深く理解することは、経営リーダーのみならず、企業人にとっても不可欠
理由②:これからのビジネスのあり方、ビジネスモデルを考えるときに、さらには組織や経営のあり方を考えるうえで、社会と社会を構成する人のニーズ・ウォンツを深く理解することが不可欠だから
デザイン思考:社会やそこに暮らす人々の動向を知ろうとするアプローチ ところが、ビジネスや経営に関する従来の学問(マーケティングや戦略論といったビジネススクールで提供されてきた学問)には、社会の変化を理解し、未来を洞察するための骨太な枠組みや理論が存在しない
社会の変化を分析し、未来を展望する枠組みを提供するのは、かつては教養に位置づけられてきたリベラルアーツの領域、とりわけ社会学 中でも社会システム理論は、社会と人々の関係が過去から現在にかけてどのように変わり、未来に向けてどのように変わっていくのかを明確に伝えてくれるし、僕らにとっての強力な武器となる
リベラルアーツは単なる教養などではけっしてない。社会の変化を理解し、未来を洞察するという経営リーダーにとっても必須スキルを涵養してくれるもの
本書で、骨太な世界観、歴史観、未来観に基づいた全体俯瞰的・包括的な視座、さらには変化を予測する思考法を獲得できる
出発点となる問い
↓本書を読めば、少なくとも考える手がかりは得られるはず
日本では社会の底が抜けている。経済回っても社会回らずの状態になってしまっている。だから経済が回らなくなると、僕らはたちまちドボンする。これが僕らの結論だが、あなたはどう思うだろうか
僕らの結論にあなたが同意してくれるとしたら、あなたは何がこの問題を引き起こしていると考えるだろうか。社会に変化を生み出している原動力となるものは一体何だろうか。それをあなたはどう説明できるだろうか。
未来にも目を向けよう。インターネットや人工知能(AI)、仮想現実(VR)、・拡張現実(AR)といったデジタル技術の進展は、この社会をどのように変え、社会の中で生きる僕ら人間存在にどんなプラスやマイナスの影響を与えていくのだろうか。その影響をあなたはどう理解し、どのような未来を予測しているのだろうか。そして、あなたの予測する未来は、バラ色なのだろうか、それとも悲観に満ちているのだろうか。
そもそもこうした変化は日本だけで起きているのだろうか。それともすでに世界全体を覆っているのだろうか。僕らは、日本社会は変化の影響を最も強く受けていると思っているが、あなたはどう思うだろうか。日本に特殊性があるとすれば、それをあなたはどう説明するのだろうか。
成り行きのシナリオは脇に置くとして、あなたが展望するよりよい未来とはどんなものだろうか。その未来を展望するにあたって、あなたが自身の羅針盤としているものは何だろうか。あなたが描く未来を実現するために、あなたに求められるものは何だろうか
本書を読み進めるにあたって
本書でカバーする領域は広く、かつ学際的
社会システム理論を中心に議論を進めつつ、政治学、哲学、心理学、生物学などの知見を随所に取り入れている 本書の要約(略)
参加者の質問・感想・コメント
まず社会を深く知る、というのはこの道場のスタンスと一致!Koichiro Shiratori.icon
「いまのところわけのわからないことは言っていない」という感想が興味深かったですyuiseki.icon
↑社会システム論を実践につなげようという一貫性がわかりやすいという意味Koichiro Shiratori.icon
話題は多岐に渡るけど、社会システム理論という結構伝統的な理論がベースになっている安定感はあるかもyuiseki.icon 第1章 構造的問題とは何か
概要:社会が直面する課題の本質を理解するために、「構造」という概念を紹介する。そしてその象徴として、「構造的貧困」というキーワードを取り上げる。構造的貧困は、社会を構成する僕ら人間が、中途半端に合理的であり、近視眼的であることから生じる。自分たちの意思で主体的に選択したことが、あたかも時空を超えた合成の誤謬となって、自分たちを結果的に苦しめているのだ モノカルチャーの落とし穴
自足時給をしていた島(寓話)
→宣教師が生活用具や農具を持ってくる、それらを買うためにコーヒー豆の栽培に転換
→ブローカーが突然コーヒー豆の買値を半分にするという
→島民はお手上げ
島の人々はなぜ間違えたのか
一番重要な鍵は、今、紹介した寓話の中に、いわゆる「悪者」は出てこない 片方が極端な不利な立場にある契約(しかも最初に契約した時点では気づいてもいない)
島の人は元の自給自足には戻れない(不可逆性、土壌の変容など)
構造的貧困の「構造」の2つの意味
①自分たちの営みより大きな「システム」に組み込まれてしまうという空間的帰結
②いったんそうなってしまうと元に戻れないという時間的帰結
→いずれも意図せざる帰結、そこに悲劇がある
しかし、この産業はタンザニアの人たちに豊かさをもたらさなかった
ナイルパーチが在来種の小魚を食べ尽くしてしまい、生態系も破壊される
この映画の中にもはっきりとした「悪者」は出てこない なぜ社会では、われわれがよかれと思って始めたことによって、意図していなかった帰結がもたらされるのか
その理由について考える前に、先人たちが社会というものをどういうふうにとらえてきたかを振り返る
社会は人間がつくるものであり、理性的な人間が自由意思に基づいて契約を結べば合理的な社会が実現する、というビジョンを掲げる 社会は人間の理性をもってしても思い通りにいくものではない
反啓蒙思想のいろいろなタイプ
マルクス主義:人々が自由に振る舞うことによって経済格差や極端な貧困が生じる→労働者が革命によって市場に依存する社会を壊すべき(カール・マルクス) まとめ:社会学=社会が思い通りにならない理由を究明することで、どの範囲で、どんなアプローチを採れば、複雑な社会に対峙しうるかを探求する学問
単に絶望するのは愚か者の営み
思い込みで社会と対峙するのも愚か者の営み
他律的依存へのトラップ
「自立と依存のパラドックス」
「自律的な依存」(自ら選択した依存)が「他律的な依存」(依存しないという選択肢がもはや存在しないような依存)へと変化=「社会の摂理」とも呼べるトラップ
要因①:情報の偏り=知らないことがたくさんある
要因②:人間は短期的な利益を長期的な利益よりも評価しがち
つまり、構造的貧困に陥ってしまう傾向を回避するのは、きわめて難しい
例)日本の各地で高度成長期に工場や大規模店舗を誘致→平成不況で多くが撤退→地場産業はすでに停滞し、地元商店街も壊滅していたため、雇用を元に戻せない
グローバル化が先進国にもたらした問題
国境を超える企業活動や経済取引(ただし、グローバル化≠国際化)
~1980年代:国際化
貧困な発展途上国から安く原材料を輸入して加工し、時刻を含む富裕な先進国の人々に高く売るという図式
→発展途上国はますます貧困に、先進国はますます富裕に
=構造的貧困のメカニズムが世界のあらゆる場所で働き、展開
1990年代初頭~:グローバル化
冷戦の終結や通信テクノロジーの発達を受けて始まる
→途上国の構造的貧困を緩和、特にサブサハラ以外の地域では貧困率が劇的に下がる(図表1-2、国際貧困ラインは1日1.90ドル)
理由:ヒト・モノ・カネの国境を越えた移動が自由になったことや、国境を越えた企業間競争が激化したことを受けて、各企業が生産コストや取引コストを抑えるために、賃金と地代が安い国に、工場や業務の一部を移転するといったアウトソーシングを進めたから→少なくとも世界レベルでは富の公平な分配につながった
負の面:とりわけ先進諸国の内部において、新たな構造的問題を生み出す。資本移動による国内産業の空洞化にともなう中間層の崩壊と、それにともなうソーシャル・キャピタル(人間関係という資本)の減少→経済的に没落した人々の間に、不全感や劣等感や孤独が広がっていった
ポピュリズム:政治がその状況を利用して、人々に「不安の埋め合わせ」になるように、「日本人はすごい」という類の万能感を与えたり、「諸悪の原因は生活保護受給者や特定の国籍の人たちに帰属する」といった類の攻撃性をあおるなど、気持ちのよさを与える政策を採るようになる→必要のない戦争、人々の間の分断と対立
【質疑応答】インドのプログラマーが米国IT技術者の年収を半分にした
グローバル化は、ヒト・モノ・カネの国境を越えた移動を自由にしたため、企業が途上国にたくさんの資本を投下することが有利になる→先進国と途上国の格差は縮まったが、先進国でも途上国でも国内の所得格差は著しくなった 例)1990年代半ば以降、インターネットの普及を背景として、多くのソフトウェア産業がインドへのアウトソーシングを始める→アメリカのIT技術者の年収は、10年間で半分になった
中国は、グローバル化を徹底的に利用し、「世界の工場」という立場を利用しながら、先進国からヒト・モノ・カネを呼び込み、技術をローカルに移転させ、ノウハウの蓄積を行い、国家まるごとが構造的貧困に陥ることを回避して経済発展を遂げた事例。しかし国内の格差は急速に拡大 第1章のまとめ
参加者の質問・感想・コメント
構造が問題=部品は悪くないが、組み合わせ方とその作用のせいで、空間的にシステムに飲み込まれたり後に戻れなくなったりする ということかKoichiro Shiratori.icon
特定の階級を撲滅すれば解決するという問題ではないRyohei.icon 階級も構造から自然発生してしまっていそうですねyuiseki.icon
ロマン主義も反啓蒙主義的な文脈で19世紀に栄えてきましたねRyohei.icon 反合理性ブーム?yuiseki.icon
たしかにめちゃくちゃマトモなことを言っている気がしてきたyuiseki.icon
社会が思い通りにならない理由を究明することで、どの範囲で、どんなアプローチを採れば、複雑な社会に対峙しうるかを探求する
国際化とグローバル化を別のステップに分けているのは興味深いyuiseki.icon
国際化の時点で資本主義や帝国主義が生じていたはず…
このあたりは世界史の構造と繋がっているなと思いながら読んでいました Web3のような巨大プラットフォームの到来による社会変動はどうなる?junko.s.icon
インド人が子どもをITエンジニアにし、アメリカかイギリスに行かせるjunko.s.icon
格差が生じる本質の構造は同じ、その時代ごとに現象は異なる→次にどこが食いつぶされるのかjunko.s.icon
そこまで取り入れて考察する必要があるのではjunko.s.icon
第2章 2段階の郊外化とシステム世界の全域化
概要:第1章の理解を出発点としながら、現在進行形の構造的問題である「汎システム化」を取り上げる。ここでは、戦後の日本の社会の変遷を振り返りながら、「安全・快適・便利」という僕ら1人ひとりの欲望が生み出す「システム世界の全域化」の力学を説明する。ここでのキーワードは「2段階の郊外化」だ 孤独:新たな構造的問題の象徴として取り上げる
2015年4月~2020年3月までに発生した孤独死は4,448件(80%以上が男性)
日本では、他国と比較しても疎遠な人間関係が深刻
政治による対応
2018年:イギリスで世界で初めて孤独担当大臣が内閣に置かれる
2021年:日本でも孤独・孤立対策担当大臣が任命される
「THE HAPPY TO CHAT BENCH」:見知らぬ人同士が気軽に会話を交わせるように(イギリス)
おせっかい(人の人生に入り込んでいくこと)をお互いに許容し合うことの大切さ
祭りで神輿を担ぐなど、肉体を使った共同作業を一緒にやるのがいいのでは
体験のデザイン:ある体験を共有することで「いいなあ」と感じてもらうことが出来れば、人々の規範や価値観に変化が生じる可能性がある→呼びかけるだけではまずない
構造的問題の根源
日本の現状:システムへの過度な依存
いったんシステムに依存すると、そのシステムは今後もうまく回り続けるだろうと考え、依存の度合いをさらに進めがち(正常性バイアス)
しかし、システムは災害や不況などでしばしば偏重をきたす
それだけでなく、システムは、むしろそれが正常に働くことによっても問題を生じさせる(例:孤独や孤独死)
なぜ日本人はシステムに過剰に依存するようになっていったのか
悪者がいないし、簡単に進む道を変えたり、道を引き返したりできなかった=構造的問題
2段階の郊外化が日本に起きた(いまは地域も家族も空洞化)
1段階目の郊外化
テレビはみんなでみるもの、体験のシェア(地域の講演や駅に設置された街頭テレビ、近所でいち早くテレビを購入した家)→各家庭にテレビが普及、テレビを通じた「体験」は家族の範囲に限られるように 2段階目の郊外化
「個食化」、女性の社会進出、コンビニ弁当、テレビや電話の「個室化」
→不自由からわれわれを解放
1960年代:団地化で空洞化した地域を、主婦を中心とした家族が埋め合わせた
団地化=地域空洞化×専業主婦化
1980年代:「家族の空洞化」が進み、それをコンビニのような市場と、保育園のような行政が埋め合わせ始めた
コンビニ化=「家族の空洞化」×「システム化(市場化と行政化)」
例)夜中にコンビニに行っていなりずしを買う、テレフォンクラブ
人々はもはや地域にも家族にも属さない浮遊した存在、それぞれが匿名者として戯れている
グローバル化によって中間層が崩壊した格差社会において、地域と家族の空洞化を埋め合わせているのが、市場や行政といったシステム
「社会の穴を、経済で埋め合わせる」から、「経済が回らなくなれば、社会の穴に人々が落ち込む」
【質疑応答】自由の謳歌と精神的安定は両立しない
コミュニティのつながりが薄くなっているのは感じるが、コミュニティの中ではみんなと合わせなければいけないストレスもあり、現在の個人の意見を尊重する日本社会はそれはそれでよいのでは
共同体からいいものだけを引き出し、コストをかけないという「いいとこ取り」はできない。「絆には絆コストがかかる」。だからといって、システムに依存しすぎると、空洞化した共同体を元に戻せないという「自立的依存から他律的自立への頽落」に陥る 「安全・快適・便利」を求めて
生活世界
「地元商店的」
人々は顔見知り
そこでのコミュニケーションは顕名的・人格的・履歴的
人口学的な流動性の低さが前提
慣習やしきたりを重視←仲間意識によって成り立つから
「共同体的温情主義」=メンバーが法やルールを犯す逸脱行為に走った場合、メンバーを弁護する人が現れる システム世界
「コンビニ的」
そこでのコミュニケーションは匿名的・没人格的・単発的
マニュアルに従って役割を演じることが重視される
人間関係は全体的・包摂的ではなく、部分的・機能的なものに
コミュニケーションのコストが下がる
生活世界からシステム世界へ
一度に移行したわけではないが、システム世界の損得勘定になじんでいくうちに、人々は安全・快適・便利しか考えなくなる →より安全な、より快適な、より便利なシステムを望み、それに依存するようになる
→システムの側も、ますます安全・快適・便利を提供し、多くの人々を抱え込んでいくようになる
気がつけば、生活世界が跡形もなくなっている
「システム世界の全域化=共同体の空洞化」
日本だけでなく、長期的には世界のどこでも起こりうる
【質疑応答】システムの外を大切に
日本経済がかなり長期のダウントレンドに入るので、仕事の外、組織の外、市場の外に、共同性に満ちた関係を持たない人が、生きていくのは難しくなる
第2章のまとめ
「安全・快適・便利」を求める僕らの合理的な判断と行動の積み重ねが、人間同士の関係性を根本的に変化させ、僕らの精神的安定性を失わせている=構造的貧困と同じ構図、悪役も不在
社会システム理論で、生活世界とシステム世界を対比することで、より明確に社会変容の正体を掘り下げて理解できる
参加者の質問・感想・コメント
生活世界とシステム世界の二分法は理論的にはクリアだが、唯一無二の視点とは言えないのではないか(別な視点はいくらでも可能、技術の進歩で「いいとこ取り」ができるとか)。そこから理論的に「解決策」を導き出すことができるのだろうか。読み進めるのが楽しみな点Koichiro Shiratori.icon
つながりを取り戻すのではなく、システムを突き詰めるということかKoichiro Shiratori.icon
たとえば社会的排除の文脈では、システム世界のうち、市場と行政は異なる作用を持っているように思われるが……Koichiro Shiratori.icon ルーマンの社会システム論では市場と行政におけるコミュニケーションは別だとしているRyohei.icon.
郊外化も二段階に分析しているのはやたらと丁寧で解像度が高いyuiseki.icon
団地化とコンビニ化
損得勘定はわりとキーワードですねyuiseki.icon
システム世界を代表する概念
人間が損得勘定に感染するみたいなイメージ
システム世界ナイズドされるとお金を稼ぐ能力が人間の優劣の指標かのように取られてしまうRyohei.icon. 測れない・測りにくい属性は指標化してもらえなさそうyuiseki.icon
「安全・快適・便利」を求めていたら危険で不安定な社会になってしまう罠yuiseki.icon
二分法はクリアだが、少し違和感はあるjunko.s.icon
合意できる点:日本は一極集中(都市集中)が1つの要因ではjunko.s.icon
日本では宗教が弱かったから一気に底が抜けた感はあるかもyuiseki.icon
キリスト教圏では週末に教会に集まるとかそういう習慣がありますしねRyohei.icon
特に都市に出てきて孤立している人
繋がり資産格差
第3章 郊外化がもたらす不全感と不安
概要:システム世界の全域化がもたらす不気味な人間存在の変容を解説する。動機不可解な殺人、ネトウヨ、高齢者クレーマーなどがなぜ生み出されるのか。その背景となる「過剰流動性」、「入れ替え可能性」という原理、それがもたらす「感情の劣化」というキーワードに目を向ける。そのうえで、「ホームベース」となりうる共同体の重要性を主張する
【ディスカッション】秋葉原事件の犯人はモンスターなのか
「秋葉原通り魔事件」(2008年)の犯人は、きわめて例外的な“モンスター”なのか、それとも、ふつうの人だって彼のような人間になる可能性があるのか (受講生からは犯人への理解を示す声)
「無敵の人」=人間関係も社会的地位もなく、失うものが何もないから罪を犯すことに心理的抵抗のない人間
感情が壊れた人間による動機不明な犯行
上記の犯人たちは、精神障害ではなく、人格障害
精神障害→「心神喪失者の行為は、罰しない」(刑法39条)←「悪いのは病気なので、病気を治せば解決する」と考える
人格障害→刑の減免はない←病気ではなく、感情が壊れているだけ
ただし、人格障害の重要な要因は、生育環境
共通感覚を育む機会が重要(外遊び、「法」の外での享楽のシェアなど)→仲間をつくる能力が育つ
著者らが子どもの頃は、誰もが同じような外遊びをし、誰に対しても共通感覚を期待できた
その機会が失われた結果、友だちになりにくい状況を生み出し、さらに共通感覚を育みにくくなるという悪循環が回っている
幼少期・青年期における「ナナメの関係」(親せきのおじさんや近所の変なおじさんとの関係)が消失 →勝ち負けだけに反応するような、非常に貧しい物差しの中にはまるなど 過剰流動的な環境(例:派遣労働)も、感情が壊れた人間を生み出す要因となる←「かけがえのない=入れ替え不可能な」存在として認めてくれない
自己肯定感=SNSの「いいね」ボタンでうれしく感じることも含む
尊厳=「持続的な変わらぬ自己価値を持つ」という感覚
そうした自己価値を持つ人間は、「いいね」を必要としないし、どこの馬の骨ともわからぬ人たちに「いいね」ボタンを押してもらってもうれしくない
殺害対象は「誰でもよかった」
孤独に耐えられない私たち
もともと人間はゲノム的に孤独に耐えられない、太古の昔から、人類にとって他者とのかかわりは生存に不可欠
上記の犯人たちも非常に孤独な人間
生活世界がシステム世界に置き換えられていくと、進化生物学的な過程で人類が構築してきた共同体が、短期間につくり変えられていく →孤独にさいなまれる人たちが量産され、中には孤独ゆえに犯罪を起こす人も出てくる
【ディスカッション】単純無差別か、条件付き無差別か
秋葉原事件のような無差別殺人は日本だけに特有な現象なのか
「スクール・シューティング」=学校などでの銃乱射事件
アメリカで頻発、年代を追うごとに増加傾向
犯人のほとんどは白人の若い男性、社会になじめずにいる人が凶行に及ぶケースが多い、犯行は計画的であることが多い
日本の無差別殺人では「誰でもよかった」という動機が特徴的
海外の無差別殺人では、同じ学校の教師や学生、あるいは、他のエスニックグループといった特定された対象に対する犯行という違いがある
過去と比較して、自分たちのポジションが相対的に低くなったと感じる白人が増えている←移民の影響か
多様性の違い
さまざまな人たちが混ざり合った多様性(40~50年前の日本社会や現在のベトナム社会の多様性)
ゾーニングされた多様性(現代のアメリカや一部の先進国での多様性)
日本とその他の国々で起きる無差別殺人
共通点:汎システム化にともなう個人の感情的劣化があること
相違点:無差別殺人が「単純無差別」か「条件つき無差別」か
日本:「社会全体が自分をダメにしている」→「単純無差別殺人」
他国:「〇〇が社会をダメにしている」(例:イスラム教徒)→「条件つきの無差別殺人」
移民・難民問題や人種・宗教問題が、どれだけ目に見えるかに起因する
【質疑応答】無差別殺人の犯人はなぜ男性が多いのか
小さい頃にいろいろな経験(遊び、スポーツ、音楽など)を積んでおくと、理解力が高まる⇔あらゆる面で経験値が低い白紙の状態
無差別殺人の犯人に男性が多いのは、女性の方が友達が多い上に、社会的な性差別で優遇されている側であるために勝てないと相対的剥奪感を抱きやすいからでは
【ディスカッション】広がる排外主義、横行するヘイトスピーチ
ヘイトスピーチ、高齢者クレーマーの増加
剥奪されたと感じる人の怒り、グローバル化による失業、移民など→ヘイトスピーチ
不全感と不安が生み出したナチス政権
経済的没落による不全感、経済的没落が予想されることによる不安→オルトライト(白人至上主義者)やネトウヨの増加、排外主義の広がり、ヘイトスピーチの横行
元から貧乏だった人より、没落したり没落に怯えたりする中流層が「大いなるもの」にすがり、不全感や不安を埋め合わせようとした(自分は「偉大なるアーリア民族」の一部)→ナチス政権誕生とユダヤ人迫害
例)トランプの主張(工場が外国に移転したから仕事が奪われた)
1頭で行動するゾウが最も危険
高齢者クレーマーの増加
企業のコールセンターに電話で問い合わせをする人は60歳以上が断トツに多い(1/3以上など)
鉄道係員に対する暴力行為でも加害者が高齢者であるケースが多い
←ひとり暮らしの高齢者の増加
総世帯数に占める単身世帯の割合の増加は世界各地に共通して見られる
ただし、日本の高齢者には「友人」や「近所の人」に頼れないという大きな特徴がある
孤独に耐えられないから、自分の不幸を外部帰属化しているのでは
「〇〇株式会社・元部長」という名刺
女性に比べ、男性はコミュニケーション能力が低い傾向がある
男性は肩書がなくなるとアイデンティティを失い、どんなコミュニケーションをしたらいいかわからなくなる
高齢者を包み込む共同体が消え、ポジションがなくなった
企業がOB・OGを大切に扱うこともなくなった
企業を退職した孤独な高齢男性は、感情的安全を脅かされ、不安を埋め合わせようとして、無意味な行為を反復しやすくなる(すっきりしたい)
かつては、生活世界が「ホームベース」で、ときどきシステム世界に出かけては「獲物」を持ち帰り、生活世界を生きるみんなのためにシェアした
→システム世界に過剰に依存するようになるについて生活世界がやせ細り、システム世界がメインで、生活世界はその下請けであるかのように変容
→個人はむき出しの状態で「システムに直撃される」ようになる
→人間の感情的劣化を引き起こす
日本は、汎システム化と共同体空洞化の先に絶望しかないことを他の国々に先駆けて示している点で「課題先進国」
理由1:「共同体存続規範」(「共同体の衰退を是が非でも避けなければならない」)がない
理由2:「宗教的規範」(「人が見ていなくても神は見ている」)がない
上の御機嫌をうかがうヒラメと、周囲の空気をうかがうキョロメに覆い尽くされている
共同体の種類
血縁共同体
日本にはもともと血縁主義がない
地縁主義
日本にあったが、システム世界の拡張がもたらす高い流動性にたいして脆弱
中国やユダヤの血縁集団は、大量殺りくや民族離散で命や財産が奪われた、民族の「悲劇の歴史」に根づいており、「頼れるのは血縁の身内だけ」というサバイバル戦略から生まれた
→血縁によりホームベースを守り、そこで回復し、システム世界で戦う知恵をシェアする
→グローバル化した社会で最終的な勝利者となるのは血縁主義の集団では
日本で最近掲げられる「グローバルで戦えるような強い個人を育てよう」といったスローガンは間違い
人間は強くない、強く見えても病気や事故でヘタれる
代替不可能な人間関係を備えたホームベースが維持されて初めて、システム世界で強く生きられる
利己的な者は共同体に恩返しをしようとする者に負ける
バブル崩壊前まで残っていたほぼ唯一の共同体が、終身雇用という幻想に支えられた一部の企業
→いま、グローバル企業に脱皮するため、またコストの制約から、みずから進んで共同体性を解体
日本でもあった、人ではない何かが自分を見ているという感覚(お天道様、森、川、雲……)
【質疑応答】シェアハウスは共同体になりえるか
「世間体を気にする」と「誰かに見られている」は違うのか
自分のことをちゃんと見ていてくれる損得関係を超えた具体的な仲間たちがいて、彼らが言うことを気にかけるようにするのであれば、孤独に耐える勇気や、ちゃんと振る舞う動機が得られる
地縁共同体の崩壊以降、世間体が形骸化し、インターネットを通じて形成される、空疎なイメージに過ぎないスタンダードに、多くの人が過剰に縛られるようになっている(「外野のノイズ」)
アートは、社会や集団に適応できない人たちを孤独から救い出す機能がある
「ああ、この絵の描き手は、この彫刻のつくり手は、自分と同じように社会に違和感を感じているな」
しかし、アートは呼びかけであって生活ではないため、ホームベースにはならない
シェアハウスは共同体か
伝統的な対立概念として、コミュニティ(共同体)とアソシエーション(組織集団)がある
コミュニティ(生活世界に重なる)
「非人為性」:そこに生れ落ちるものでメンバーになることを選べない
アソシエーション(システム世界に重なる)
「部分人格性」:人格の一部だけでかかわる
コミュニティのような「全人格性」とアソシエーションのような「人為性」を併せ持つ集団はないのか
素晴らしい概念だが、実現は難しい
例)シェアハウス
当初のシェアハウスはコミュニティ意識の高い人々が集まりうまくいく
→千客万来だったシェアハウスが部分的にクローズド(紹介制など)に
矛盾:本来シェアハウスを必要とするのは、ホームベースの欠落ゆえに感情が劣化した人たちなのに、感情が豊かでホームベースをすぐに持てるような人たちだけが、シェアハウスのユーザーになる
=シェアハウスは普遍的なホームベースにはならない
3章のまとめ
グローバル化とともにシステム世界の全域化が加速する世界
弱い個人を包摂するホームベースを保全する、あるいは再構築することの重要性に目を向ける必要がある
参加者の質問・感想・コメント
たとえば、バブル崩壊前までの日本企業は「全人格性」と「人為性」を備えていたということ?Koichiro Shiratori.icon
年功序列、終身雇用、家族経営だと、外に出ることが考えにくいRyohei.icon
バブルは市場というシステムの暴走状態に入っていたからこそ起きたと思いますyuiseki.icon
日本で経済的没落やそれに対する不安が増加すると、排外主義やヘイトスピーチも増加する可能性が高いのではKoichiro Shiratori.icon
もう起きているのではと思いながらTwitterを見ていますyuiseki.icon
人々が「安全・快適・便利」を求めることから、構造的に、生活世界(地域コミュニティなど)はシステム世界(市場や行政)に不可逆に浸食され、社会的排除や孤独をはじめとする多くの問題が生じるといえるKoichiro Shiratori.icon
この章では明確にシステム世界の全面化によるデメリットが列挙されていた感じがしますねyuiseki.icon
金銭や「安全・快適・便利」を主たる動機にしないためにシステム世界(市場や行政)の引力にひきずられない人間を、インターネットの力で日本中からまず10~100人集め、そのメンバーを核に、ICTも活用して誰一人取り残さない社会を志向する諸々のしくみをつくっていったらどうか?(ホームベースをつくることだけが狙いではない)Koichiro Shiratori.icon
「anywhereタイプ」の特徴
寛容(openness)、自立性(autonomy)、流動性(fluidity)に価値を置く
流動性、移動性が高い
学歴も比較的高い
社会的な変化に適応できる
集団帰属意識が低い
イギリス国民の20-25%をanywhereタイプが占める
自己アイデンティティを、自己の業績を元に確立する
例えば、「大学入試試験で合格した」、「大卒だ」、「仕事では失敗したり、成功したりした」というような事実が個人のアイデンティティを作っているという考え方を持った人
よって、「自分が何者であるのか」という概念はどちらかというとポータブル(移動できる)で、どこにいっても適応できる
「somewhereタイプ」の特徴
イギリス国民の半数を占める
人口比で大多数なのにも関わらず、政治的、文化的影響力が低い
学歴は比較的低い
国や地域に根付いている
治安や安全、馴染み、親しみ(familiarity)に価値を置く
社会的な変化に適応するのが難しいと感じる
集団帰属意識が高い
自己アイデンティティを、自分とつながりのある場所や集団に求めるタイプ
よって、自分が所属している社会の変化に当惑しやすい
移民や社会変化というのは、自己アイデンティティを脅かしかねないものとなり、脅威である
これが動画のなかで彼が分類していたanywhere
初耳だったのでありがたいです!!yuiseki.icon
そういえばこの本で紹介されているギークハウスに私は住んでましたyuiseki.icon 帰属するコミュニティが少ないほど「無敵の人」になりやすのではjunko.s.icon
情報化社会によってITリテラシーが帰属するコミュニティの数を左右するように
ストレス耐性など
日本の教育:junko.s.icon
発達段階で適切に育成されないと、アイデンティティが確立されない
エリクソンの発達段階
なんで仕事してるのか、なんで生きてるのか……
強いグローバル人材の定義が曖昧junko.s.icon
繋がりスキルが高ければホームベースがなくてもやっていけるのではないか ホームベースがなければ高い繋がりスキルは養われないのでは
意欲とスキルがあれば一気に上にいける
→ 豊かな中間層(変なおじさんみたいな?)が消滅する
②データ分野
※レジュメ:yuiseki.icon
第4章 確率変数の分布
「左右対称で,単峰で,釣り鐘型の分布」
統計学の至る所に登場
https://gyazo.com/42ef3df03f873244e643716f53557f31
正規分布は平均と標準偏差という 2 つのパラメータによって調節することができる 観測値のZスコアとは、平均に対してどれだけの標準偏差ぶん上回っているか下回っているかを示す
正規分布のある値以下・以上の確率がどれだけか
68:95:99.7 ルール
https://gyazo.com/58491f85f94e8072e4dd13e65cb58814
コイン投げのような離散確率の確率分布
https://gyazo.com/85d62fdda1266ceb8861d7797c0a617c
成功 or 失敗になるような試行
サイコロで1が出るまで振った回数のような離散確率の確率分布
確率がある値になるまで何回試行するかを記述する
https://gyazo.com/3351721c6821a0d8532117cefbfa5122
一定の試行回数のうち成功の回数を記述する確率分布
二項分布かどうかを確かめるための 4 条件
(1) 試行は独立である.
(2) 試行回数 n は固定されている.
(3) それぞれの試行の結果は成功または 失敗のいずれかである.
(4) 成功確率 p はそれぞれの試行において同じである.
二項分布の正規近似
nの回数を増やすと、二項分布は正規分布に近づく
正規近似は狭い区間では機能しない
二項分布のケースでは,通常は試行回数が固定され,その代わり成功の回数を考慮する.負の二項分布のケースでは,固定された成功回数を観測するために何回の試行がかかるかを分析し,最後の試行は成功であることを求めている.
負の二項分布か, 確認のための 4 条件
(1) 試行は独立.
(2) 各試行は成功か失敗のどちらかの結果になる.
(3) 成功確率 (p) は各試行について同じである.
(4) 最後の試行は成功である.
ある離散的な事象について、ポアソン分布は所与の時間内での生起回数の確率の分布
https://gyazo.com/da92e627bbabd487a562289afc5d4573
λ=回数
第5章 統計的推測の基本→次回!!!yuiseki.icon
点推定値の変動性
このあたりで疲れてしまった
参加者の質問・感想・コメント
Zスコアという単語は初めて聞きましたRyohei.icon
もっとたくさんの確率分布があるのにめちゃくちゃ絞られている印象yuiseki.icon
どういうタイプのデータ分析にどの分布を使うのかjunko.s.icon
個人的に社会科学で使うデータはNが少ないので、結構違いがありそうKoichiro Shiratori.icon
③プログラミング分野
※レジュメ:ryohei.icon
第3章 文法の誕生
プログラミング言語の設計者が決めた「こう書いたら、こういう意味に解釈する」というルール
演算子の優先順位は人間が自分に都合がいいように決定している FORTH:1958年に開発された文法のほとんどない言語
「1と2を足す」の表現
12+
スタックという「値を積んでおく場所」を使用している ⇒括弧も「優先順位というルール」も導入せずに表現
「1と2を足したものに3を掛ける」の表現
12+3*
LISP:1958年に開発された「ひとかたまりの部分に常に括弧を付けよう」と選択した言語
「1と2を足す」の表現
(+12)
「1と2を足したものに3を掛ける」の表現
(*(+12)3)
⇒構造木にしてみるとFORTHとLISP(Pythonも)の構造(=「やりたいこと」)は同じ
12+
(+12)
1+2
構文解析器(パーサ):ソースコードを文字列として読み込んで、それを解析し、構文木を作るプログラム 文法の設計と構文解析器の実装はプログラミング言語の外見を決める重要要素
3.5 まとめ
同じ「1足す2に3を掛ける」という処理でも、言語によって見かけが異なる
ただし、構文木で表現するとほぼ同じ
FORTHやLISPはルールを少なくすることを目指したが、市場が求めたのはむしろFORTRANのように「*は+よりも優先順位が高い」等の決め打ちルールを大量導入し、「とっつきやすく」すること 第4章 処理の流れのコントロール
1960年代後半:構造化プログラミングが誕生
if文やwhile文などのルール(構文)を導入することで、コードの構造をわかりやすくしようという考え方 4.2 ifが生まれる前
ifの機能:「条件を満たしていればジャンプ」という命令
gotoを使えば指定された行へジャンプするための命令を下すことはできる
if… elseを使うメリット
「条件が真と偽の場合に処理の流れを分岐する」というプログラミング上の頻出パターンを手軽に読みやすく書くことができる
4.3 while 繰り返しのifを読みやすく表現
whileの機能:「条件を満たしている間、ブロックの中身を繰り返し実行する」
goto文を使っても表現できなくはないが・・・
while文を使った方が「読みやすく」「書きやすい」
4.4 for 数値を増やしながらのwhileを読みやすく表現
whileがあればforはいらない?
for文は「最初の値、増やす値、終わりの値」の三つを一か所で表現できるため、ループの意味が理解しやすい
foreach構文:処理の対象で繰り返しを制御
⇒「itemsの各要素について、それを表示」と記述することができる
4.5 まとめ
if、while、for文はそれを使わなくとも表現することはできる
しかし、コードの分かりやすさ、書きやすさの観点で、これらの使い分けが大事
第5章 関数
5.1 関数の役割
関数:コードの一部をひとかたまりのものとして切り出し、それに名前をつける機能 関数を使った方が楽なこと:「理解」と「再利用」
コードが関数に分かれていることは、大きな組織が部署に分かれていることに似ている
ソースコードの行数が多くなると全体把握が難しくなるので、いくつかの行をひとまとまりにして名前を付ける
関数を作ることは、小さな部品を集めて大きな部品を作ることに似ている
何十行、何百行のコードが関数にまとめて提供されるおかげで、手軽に再利用できる
プログラムにおいては、物理的なものとは異なり、どれだけデータの数を増やしても関数の実行は1つでよい
ソースコードの再利用にはgoto文だけでは足りない
goto文では「元の位置に戻ってくる」命令ができない
「元に戻る」命令ができると、コードが再利用できるようになる
「何度も繰り返し使われる命令をまとめて再利用したい」というニーズは昔からあった
1949年のEDSACでもこのテクニックは使われた
関数を呼んだあと元の位置に戻ってくることを、ジャンプ命令のジャンプ先を書き換えて表現していた
しかし、この方式では関数の中身が追加され、戻る命令の位置が後ろにずれてしまうと、その関数を呼び出しているコードは全部修正しなければならない
戻る先を記録しておく専用のメモリを作り、「戻り先メモリに書いてある番地にジャンプする命令」を用意するという方法が考案される
この方式も、関数Xを呼び出している途中に別の関数Yを呼び出すと、戻り先メモリが上書きされてしまって関数Xから戻るべき場所がわからなくなるという問題があった
スタックの登場
スタック:複数の値を保存しておけるデータ構造で、最後に入れたものを最初に取り出すのに向いている
まず「スタックの頭はどこか」を記録するメモリ上の場所(番地)を決める
関数Xからの戻り先は、当初の番地の値を1増やしたものとなる
関数Yからの戻り先は、当初の番地の値を2増やしたものとなる
⇒関数Xを呼び出している最中に関数Yを呼び出しても、関数Xの戻り先が上書きされず、ちゃんと戻ることができる!
再帰呼び出し:ある関数Xの中から、関数X自体を呼び出すこと
再帰呼び出しは必ずしも必要というわけではない
「ある手続きをやっている最中に同じ手続きを違う対象(引数)について行う」という入れ子処理を行う際には、再帰呼び出しが役に立つ
[1,2,[3,4],5]というリストの処理
[1,2,[?],4]というリストの?部分に、[3,4]という別のリストが入れ子になっている
for文では多重入れ子構造になっている場合に処理できない
「入れ子になったリストの中の数値の和を取る関数total」を設定し、再帰呼び出しを使うことで、多重入れ子構造のリストであっても、中身の数値を合計できる!
5.4 まとめ
関数は、意味的にひとかたまりのコードをくくりだして名前をつけることで、そのコードが何をしているのか把握しようとする
その関数をほかの場所から呼び出して使えるようにすることで、再利用ができるようになる
参加者の質問・感想・コメント
この本のかなり重要な部分がわかりやすくまとめていただけたと思います!!!yuiseki.icon
実際foreachや戻る命令や再帰呼び出しができなかったらかなりの縛りプレイプログラミングみたいになります
わかりやすかった(わかった気がした)Koichiro Shiratori.icon
技術の進歩と人間の理解は車の両輪Koichiro Shiratori.icon
全体を終えて一言:参加者の質問・感想・コメント
テキストだけではなく、人と人の交流が学びになるということが実感できたKoichiro Shiratori.icon
今回は社会分野の盛り上がりがすごかった…!!yuiseki.icon
論点が非常に多く、新たな気づきも沢山ありました!Ryohei.icon
楽しかったのでまた参加したいです!junko.s.icon
日程
2022-12-11 18:00-20:00
12-04
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12-11
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担当
4-5章Ryohei.icon
5章Koichiro Shiratori.icon
6-9章yuiseki.icon